商売のやり方 business formula 2005 11 24
以下の内容は、このサイトのトップページに、11月23日に掲載したものです。
商売の基本 2005 11 23
たとえば、ある人が、小料理の店を経営していたとします。
固定客と言える「なじみの客」が増え、
誰の目にも、商売が順調であるように見えました。
そこで、店の主人は、ここで、一気に、お店を大きくしたいと思いました。
雑誌や新聞のチラシなど、あらゆるところに広告を出したのです。
また、雑誌には、広告特集として、お店を記事で取り上げてもらったのです。
さて、ここで、大きな問題が発生すると思います。
そんなに広告を出したら、客が、大量に、お店に押し寄せるでしょう。
しかし、板前の人数やキッチンを増やしていなかったら、どうなるか。
料理の質が落ちるだけです。
ところで、事前に、板前の人数やキッチンを、十分増やしておくと、どうなるか。
それでは、売上高は伸びるでしょうが、利益が増えません。
人間には欲がありますので、
必要とされる「板前の人数やキッチン」より少なくして、利益を狙うでしょう。
グルメの人は、よく言います。
「あの店は、大きくしたら、おいしくなくなった」と。
最初は、みんなに、おいしいものを食べさせたいという目的で始めた「お店」が、
いつの間にか、金儲けが目的の「お店」になってしまった。
お店を始めた時は、みんなに好かれた板前だったのに、
いつの間にか「金の亡者」になってしまった。
こうしたことは、証券会社も同じでしょう。
一見客 one shot customer 2005 6 18
京都には、「一見客、お断り」という店があるそうです。
一見客とは、初対面の客のことです(広辞苑)。
つまり、なじみの客しか、受け付けないということです。
こんな話を聞くと、多くの人は、
「そんな店、お高くとまっているような態度は、気に入らない」と思うでしょう。
しかし、決して、お高くとまっているわけではないのです。
たとえば、夫婦二人で、小料理屋を経営していたとします。
そして、毎日、平均して、50人ぐらいのお客が来るとします。
そうすると、50人分の材料を仕入れ、50人分の仕込みをするでしょう。
もっと、お客を受け入れれば儲かると思いますが、
夫婦二人で、お店を運営して行くには、体力的に、50人のお客が限界だと思うでしょう。
そこへ、その店が、たまたま雑誌で紹介されて、
大量のお客が押しかけたら、どうなるでしょうか。
あまりの忙しさに、料理の味が落ちるかもしれません。
あまりの忙しさに、体力的に、疲れ果ててしまうかもしれません。
疲れ果ててしまったら、よい仕込みができなくなるかもしれません。
固定客は、突然の混雑に、お店を敬遠するかもしれません。
もしかすると、お店がうるさくなったと言って、別の店に行ってしまうかもしれません。
さらに、困ったことに、雑誌で見て、押しかけてきた客は、
たいてい遠くからやってくるので、もう二度と、お店には、来ないでしょう。
こうしてみると、なじみの客相手に商売している方が、よかったと言えるでしょう。
そういうわけで、「一見客、お断り」となるのです。
小さな店が、急に、大きな店となったら、味が落ちてしまった。
そんな話を、よく聞きます。
大きな店にするには、たくさん従業員を雇う必要があります。
そうすると、結果的に、味は、人任せになってしまうでしょう。
店主が、すべての味付けを見ることはできないからです。
優秀な弟子が出現しない限り、店主の味を伝えることはできないでしょう。
大企業になることが、すべてよいとは限らないのです。
中小企業には中小企業の良さがあります。
そうした中小企業を社会的に守っていくことも必要です。
日本企業の99%は、中小企業と言われます。